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■ストーリー
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戦火に芽生えた運命の恋。
映画は病院屋上の老夫婦の「回想」からはじまる。
敗戦の色濃い昭和二十年・春。
両親を失ったばかりの娘・紙屋悦子は、鹿児島の田舎町で優しい兄・安忠、その妻・ふさと肩を寄せ合う慎ましい毎日をおくっていた。
そんな彼女が胸に抱く願いは家族の平穏と、密かに想いを寄せる兄の後輩、海軍航空隊に所属する明石少尉の無事だけである。ところがある日、兄は別の男性との見合いを悦子に勧めてきた。それも相手は明石の親友・永与少尉で、明石自身も縁談成立を望んでいるらしい。
傷心を押し隠し、永与との見合いに臨む悦子。
当日、明石に連れられて紙屋家を訪れた永与は、緊張のあまりトンチンカンな失敗を繰り返しながらも、悦子に真摯な愛情を示した。
実は以前、初めて悦子に会った時に一目ぼれしたと言う永与だが、あまりに地味な彼の印象は悦子の中に全く残っていなかった。
それでも、明石が先に帰って二人きりになった後、自分の事を何も言えずに明石との友情について語り続ける永与の不器用さは、悦子には好ましく思えた。永与の優しさ、友への思いやりが一言ごとに伝わってくる様で、少しずつ悦子も心を開いていく。
「…戦争のどげんなるか…私もどげんなるかわからんですばって…私はもうあなたば…一人にしません」
必死で搾り出す永与の言葉に対し、僅かな沈黙の後、「はい」と答える悦子。
だが、悦子は衝撃的な事実を知らされた。明石が特攻隊に志願し、間も無く出撃すると言うのだ。
おそらく、死を目前にし、明石は最愛の人を親友に託そうとしたのだろう。同じ航空隊の同期とは言え、永与は整備担当で戦場に赴く可能性は低い。
「永与は、ほんなこつ良い奴ですけん」
出撃前夜、悦子にその言葉を残し、満開の桜の下を去っていく明石。
「悦ちゃん、行ってこんね!早う…明石さん、行ってしまいなさっがね!」
悦子の秘めた想いを知る姉・ふさの叫びにも関わらず、彼女の体は凍りつき、動けない。たとえ追った所で、掛ける言葉など何一つ見つかりそうにない。
その夜、たった一人で泣き尽くした悦子。
数日後、悲痛な面持ちで明石の死を告げに来た永与には、残された者同士の哀しみをがあった。
「…出撃直前、これを悦子さんにと渡されたとです。最後の頼みやけん。こん事は、貴様だから…私だから頼むのだと…」
明石が書き残したという手紙を永与から受け取り、封を開けずに握り締める悦子。
そして、勤務地が変わる事になったという永与が去ろうとした時、彼女は今度こそ胸の中に秘めた想いを口に出した。
「待っちょいますから…日本がどげな事になっても、ここで待っちょいますから…」
「…はい」
「きっと迎えに来て下さい」
見詰め合う二人の頭上、散り始めた桜の花びらが舞う。
これから共に長い人生を生きる二人の、結婚を決意した最初の一歩がはじまるのだった・・・。 |
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